最高峰の漫才を笑い声で分析!M-1グランプリ2017

人工知能による笑い計測プロジェクトWARAI+(ワライプラス)のコラムへようこそ。
ところでみなさんは、お笑いのコンテストを見て審査結果に不満を覚えたことはありませんか?。 実際に不満を覚える人は多いようで、大きなお笑いコンテストが終わると決まって今回の審査はちょっとヘンだったと話題になります。 こうした不満は当然のことなのです。当コラムでたびたび指摘しているようにお笑いのプロである審査員はネタが面白いかどうかという点に加えて、ネタの構成や新規性、芸の熟達度など多様な視点から評価をおこないます。 一方で視聴者や観客は面白さ一点で評価をすることが多いでしょう。 加えて、優勝した芸人には仕事が殺到するため、審査員側にも特定の事務所の芸人を勝たせたいという「見えない力」が働くという懸念もあります。評価のギャップが生まれるのも当然のことなのです。

WARAI+の笑い計測技術を用いることで、公平に採点をおこなうことができます。やり方はいたってシンプル、笑いの量を計測し比較するのです。今回はそのデモンストレーションとして2017年12月3日に放送された「M-1グランプリ2017」(テレビ朝日)を題材に、笑い声の計測・比較アプリWARAI+Recorderを使って面白さの分析してみました。

M-1グランプリ2017とは


出典:M-1グランプリ2017公式HP

M-1グランプリは吉本興業が主催する漫才のコンクールです。出場グループは結成から15年以下という制限が設けられています。第13回目となる今回は4094組が優勝を目指して戦いました。この数はコントのコンクールであるキングオブコントの倍近いです。 番組ではまず、予選または敗者復活戦を勝ち抜いた10組がファーストラウンドで漫才を披露し、審査員の合計得点(審査員の持ち点は各100点)の上位3組が最終決戦へ進みます。 最終決戦では3組がさらにコントを披露し、審査員の得票数(審査員につき各1票)が最も多かった組が優勝となります。 今回の審査員は上沼恵美子氏、松本人志氏、博多大吉氏、春風亭小朝氏、礼二氏、渡辺正行氏、オール巨人氏の合計7名です。

まずは番組審査員の採点結果をご覧ください。


出典:M-1グランプリ2017公式HP

ファーストラウンドで和牛、ミキ、とろサーモンが高得点を獲得し、最終決戦へ進みました。最終決戦では、とろサーモンが4票、和牛が3票、ミキが0票でとろサーモンの優勝となりました。

WARAI+Recorderで測定

笑い声を計測するWARAI+Recorderアプリを使って、各漫才の視聴中にどれくらい笑いが発生したのかを計測します。 計測対象は筆者1人の笑い声です。番組内の笑い声が入らないよう、テレビの音はヘッドホンで聞きました。 なお、今回は1人のみの測定ですがアプリ同士を連携し複数人の笑い声を同時に測る構想もあります。 計測方法の詳細については、R1ぐらんぷり2017の笑いを測った本当に面白かった人は?2017年R-1ぐらんぷりの笑いを測ってみたを、 アプリについてはWARAI+Recorder iOS版リリース!をご参照ください。

ファーストラウンド

まずはファーストラウンドの測定結果をご覧ください。


ファーストラウンドの笑い声計測結果
(ネタ時間に占める笑い声の比率:WARAI RATEが高い順)

M-1グランプリのネタ時間は4分(240秒)だと思われますが、最短217秒(カミナリ)、最長275秒(和牛)とばらつきがあったので、比較の指標として「WARAI RATE」を用いました。WARAI RATEは計測時間中の笑い声の比率であり、4分の間に1分間笑っていたらWARAI RATEは25(%)となります。最高が100%として大きければ大きいほどたくさん笑ったということです。

WARAI RATEで最高だったのはとろサーモンの30%でした。ちなみにこれはキングオブコント2017の1stステージで最高のかまいたち19%を大きく超える値です。とろサーモン以下はスーパーマラドーナの27%、さや香の26%、かまいたちの20%と続きます。本年の結果だけ比較すると、M-1グランプリ2017はキングオブコント2017より笑いの量が多かったです。

大笑いの継続時間であるMAX WARAI TIMEでソートしてみましょう。


ファーストラウンドの笑い声計測結果
(1回の大笑い:MAX WARAI TIMEが長い順)

最大はとろサーモンの14秒、以下さや香の9秒、かまいたちとジャルジャルの8秒と続きます。笑いの比率が高いとろサーモンが順当に大笑いをとっているということがわかります。

最終決戦

次は最終決戦の笑いの測定結果です。


最終決戦の笑い声計測結果
(ネタ時間に占める笑い声の比率:WARAI RATEが高い順)

高度な戦いを制したのはとろサーモンでしたが、個人的にはミキが好みでした。測定結果にもそれがよく反映されていて、WARAI RATEはミキ10%、とろサーモン6%、和牛4%の順でした。集中して見過ぎて疲れていたのでしょう、全体的に最終決戦は1stステージよりも笑いの量は少なかったです。


最終決戦の笑い声計測結果
(1回の大笑い:MAX WARAI TIMEが長い順)

最大の笑いの長さであるMAX WARAI TIMEを比較すると、とろサーモンの4秒が最大で、ミキや和牛は2秒でした。とろサーモンが優勝したことをふまえると、クスクス笑うより大きな笑いが印象に残りやすいのかもしれません。

測定を振り返って

今回はWARAI+Recorderを使って、一人でお笑いの審査員をしてみました。さや香やジャルジャルなど自分でも気づかなかった芸人が上位にランクインしていて、意外な自分の好みを発見することができました。
また、今回は合計で8分37秒も笑っていました。一見少ないように思えるかもしれませんが、成人が一日に声に出して笑う時間は30秒程度とされており、お笑い番組を見ることでその17倍も笑うことができました。
笑いが健康に良いことを踏まえると、こうした笑いの計測ツールを使って習慣的に笑うという試みも面白いですね。
笑いは精神的混乱の解消運動と言われており、案外何で・どれくらい笑ったのかは覚えていないものです。みなさんもアプリを使って普段目にしない「自分の笑い」を見つめなおしてみてはいかがでしょうか。

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※咽頭マイクをお持ちでない方は、動画の音と自分の声とを分離するために、動画の再生機器にヘッドホン・イヤホンを接続する必要があります。

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