本当に面白かった人は?2017年R-1ぐらんぷりの笑いを測ってみた


出典:関西テレビ

どれくらい笑ったのかを本気で計測する

私が笑いの測定に携わって10年になりますが、これまでに多種多様な依頼をいただいてきました。 もっとも数として多かったのが、「お笑いを観ているときの観客の笑いを測ってほしい」という依頼です。

テレビでよく見かける審査員方式によるお笑いの審査では、単純に「芸の面白さ」だけが評価されるわけではありません。 芸の完成度、芸人の将来性、ショーとしての盛り上がりなども加味して採点がおこなわれます。
ところが、観客(視聴者)は面白い人を決める大会だと思っていますから、なぜこの人が優勝したのかなどと結果に首をひねる人が多くなってしまいます。
このミスマッチにはさまざまな原因がありますが、これまでに笑いを測る方法がなかったというのが最大の原因でしょう。

2017年2月22日(フフフの日)に立ち上げた株式会社大成情報技術内の笑い計測プロジェクトWARAI+では、 最新の人工知能技術を用いることでより高精度に笑いを検出し詳細に分析することが可能になりました。
今回は2017年のR-1ぐらんぷりを題材に、WARAI+Recorderを用いて「誰が一番笑わせたのか」を計測してみました。

WARAI+Recorderを用いた笑いの測り方

今回はWARAI+の笑い測定アプリ「WARAI+Recorder」(ワライプラスレコーダー)を使って笑いを測ります。 WARAI+Recorderの使い方には、1つだけポイントがあります。 それは、「映像の音声をヘッドホンやイヤホンで聞く」ということです(咽頭マイクを持っている方を除く)。 視聴映像内の音声とアプリで測る音声とを分離しないと、映像内の笑い声がWARAI+Recorderで検出され結果に影響するためです。 たとえば、テレビでお笑いの映像を流すのであれば、テレビの音をヘッドホンで聞く、 パソコンで映像を見るのであれば、パソコンの音をヘッドホンで聞くよう機器をセッティングします(下図)。


パソコンで計測する場合の例

測定環境

今回の測定人数は私一名です。2017年R-1ぐらんぷり(2017年2月28日放送)は未視聴の状態です。
WARAI+Recorderは測定開始から測定終了までに発生したの笑い声の時間を測ってくれるアプリです。
今回は出演者ごとに区切って笑いの計測を行い、番組の審査結果と比較することにしました。

WARAI+Recorderは一回一回区切って測定することに特化した仕様になっています。
スタートとストップボタンを押すだけで結果は自動保存されますので操作は非常にカンタンです。
生放送を見ながらでも余裕で測定することができます。


測定開始前(左)、測定中(右)

測定結果は「履歴」欄を見よう

「履歴」ページでは、笑いの測定結果が時系列順に並んでいます。


履歴画面


履歴画面(拡大)

WARAI TIMEはスタートからストップまでに計測された笑い声の合計時間(秒)です。
WARAI RATE欄には計測時間が異なる場合でもどれくらい面白かったのかを比較できるよう、 計測時間あたりの笑いの時間の割合(%)が表示されます。
MAX WARAI TIMEは、スタートからストップまでの間で最も長かった笑いの時間(秒)です。
一発大きな笑いがでればこの値が大きくなります。

各指標での並び替えも簡単にできます。
たとえば、計測時間の長さで並び替えをしたければ、「計測時間」をタップします(下図)。


ソートは表示名をタップ

WARAI RATEやMAX WARAI TIMEで並び替えをすれば、誰で一番笑ったのかも一目瞭然です。

いよいよ結果発表!

つつがなく計測を終え、いよいよ結果発表です。
R-1ぐらんぷりのネタの時間は3分程度というルールのようですが、 ネタの時間は紺野ぶるまさんの最長221秒、最短は横澤夏子さんの171秒とややばらつきがありました。
そこで今回はネタ中で笑った時間の割合(WARAI RATE)と一番長い笑い(MAX WARAI TIME)を中心に、 番組で集計された評価も併記して比較しました(下表)。


笑いの測定結果(披露順)。敬称略。

笑いの割合(WARAI RATE)が高かったのは高い順に、三浦マイルドさん、おいでやす小田さん、レイザーラモンRGさんでした。
どれも初めて見るネタばかりでとても面白かったです。
特に三浦マイルドさんは矢継ぎ早にネタを繰り出しており、ネタ中の44%は笑ったという目を見張る結果となりました。


WARAI RATEでソート

一番大きな笑い(MAX WARAI TIME)が生じたのは、笑い時間が長い順に、三浦マイルドさん、おいでやす小田さん、サンシャイン池崎さん(決勝)でした。
それぞれ、11秒~9秒の大笑いが生じており、それくらいゲラゲラ笑っているのでこの3名は特に面白かったと記憶しています。


MAX WARAI TIMEでソート

番組ではサンシャイン池崎さんと石出奈々子さんとアキラ100%さんが決勝に残り、アキラ100%さんが優勝することになりましたが、 私がアキラ100%さんの芸を計測前におおよそ知っていたせいもあり、今回の測定結果では奮いませんでした。
また、女性の芸人さんに対する笑いが少なく、私が個人的に苦手としていることもわかりました。
今回の計測結果は、番組内での順位とは大きく異なりましたが、私がなんとなく感じた面白さと測定結果が見事に合致しており、満足のいく計測となりました。

言うまでもありませんが、今回の結果は私個人の好み・経験が反映されただけのものです。
結果は十人十色となるはず、みなさんもぜひお試しください。
意外な自分の苦手や好みが見つかるかもしれませんよ。

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※咽頭マイクをお持ちでない方は、動画の音と自分の声とを分離するために、動画の再生機器にヘッドホン・イヤホンを接続する必要があります。

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