昔の日本人の笑顔がそこにある?微笑む仏像を見に行こう
今回は微笑仏特集
笑い学入門1「笑いの花咲く国へ」日本は笑いあふれる国だった?で取り上げたように、日本には西洋社会においては珍しい笑う聖像が多数存在します。
そのなかでも今回は、微笑む仏像「微笑仏」にフォーカスを当てます。
先のコラムでも書いたように仏像がうかべる微笑みは、単なる微笑ではありません。
小泉八雲が指摘したように、昔の優美な「日本人の微笑み」の姿があるのです。
今回は微笑みをたたえる代表的な仏像とその所在地を紹介します。
昔の日本人の微笑みを再発見しに、現地に直接訪れてみてはいかがでしょうか。
弥勒菩薩半跏思惟像(広隆寺)

「広隆寺 木造弥勒菩薩半跏像 部分」
京都府広隆寺の木造弥勒菩薩半跏像(宝冠弥勒)は、飛鳥時代の作品とされ、国宝の第一号です。
表情を極力抑えつつ、口元だけわずかに微笑む「アルカイク・スマイル」をたたえる仏像としても有名です。
右足を左ひざに乗せて右手をほほに当てて思索にふけるそのポーズがロダンの「考える人」と似ているころから、「東洋の詩人」とも呼ばれています。
京都府 広隆寺霊宝殿
所在地:京都府京都市右京区太秦蜂岡町32
電話:075-861-1461
拝観料:大人700円
常時公開、9時~17時(12月~2月のみ16時30分まで)
京福電車 太秦広隆寺前下車 徒歩約1分
市バス 太秦広隆寺前下車 徒歩約1分
京都バス 広隆寺前下車 徒歩約1分
弥勒菩薩半跏思惟像(中宮寺)

「中宮寺 弥勒菩薩半跏思惟像 部分」
奈良県中宮寺の本尊である弥勒菩薩半跏思惟像(木造菩薩半伽像)は、その優美さから広隆寺の宝冠弥勒と並び称されることが多い半跏思惟像です。
この仏像は弥勒菩薩ではなく、古来から二臂の如意輪観音像とも考えられています。飛鳥時代の国宝です。
宝冠弥勒と同様、アルカイク・スマイルをたたえています。
宝冠弥勒が全体的に中性的と見られる傾向がある一方、こちらは柔らかい表情と姿から女性的と見られる傾向にあります。
奈良県 中宮寺
所在地:奈良県生駒郡斑鳩町法隆寺北1-1-2
電話:0745-75-2106
拝観料:大人600円
常時公開、9時~16時30分(10月~3月20日のみ16時、受付は各15分前まで)
JR法隆寺駅 法隆寺門前行きバス終点下車徒歩8分
近鉄筒井駅 王寺駅行きバス「中宮寺前」下車徒歩5分
釈迦如来像(飛鳥寺)

「飛鳥寺 釈迦如来像 部分」写真:Chris 73
飛鳥寺は、596年に蘇我馬子によて建てられた日本最初の本格的な寺院です。
本尊である釈迦如来像(飛鳥大仏)は、609年に完成した日本最古の仏像と言われ、重要文化財に指定されています。
落雷によって2度損傷を受け大分が失われたとされましたが、近年の研究により大部分は当初のまま残っているとされています。
飛鳥大仏の名の通り、座高は275センチあります。
面長の顔立ちとアーモンド形の眼は飛鳥仏の特徴を有しながら、わずかに微笑みの表情をうかべています。
奈良県 飛鳥寺
所在地:奈良県高市郡明日香村飛鳥682
電話:0744-54-2126
拝観料:大人350円
常時公開、9時~17時30分(10月~3月のみ17時、受付は各15分前まで)
近鉄橿原神宮駅下車 岡寺前行バス10分 「飛鳥大仏」下車
釈迦三尊像(法隆寺)

「法隆寺 釈迦三尊像 部分」
法隆寺は聖徳宗の総本山で創建607年と伝えられています。西院伽藍は飛鳥時代から現存する世界最古の木造建築です。
本尊である釈迦三尊像は、623年に完成したもので国宝に指定されています。
同時期につくられた飛鳥大仏と類似しており、どちらも鞍作止利(くらつくりのとり)という大陸から渡来した仏師の作とされています。
両脇侍も微笑んでいるところも見どころです。また、同じく国宝の薬師如来像も微笑んでいます。
法隆寺の隣には中宮寺があるので、半跏思惟像とセットで観覧するのもおすすめです(セット割引あり)。
奈良県 法隆寺
所在地:奈良県生駒郡斑鳩町法隆寺山内1の1
電話:0745-75-2555
拝観料:大人1500円
常時公開、9時~17時30分(10月~3月のみ17時、受付は各15分前まで)
JR法隆寺駅 徒歩約20分 / バス「法隆寺門前」行き、「法隆寺門前」下車
JR王寺駅 バス「春日大社・奈良」行き、「法隆寺前」下車
近鉄奈良駅 バス「JR王寺駅」行き・「法隆寺」行き、「法隆寺前」下車
薬師如来坐像 円空(庄中観音堂)

「庄中観音堂 薬師如来坐像 円空 部分」 写真:東海の円空を歩く(風媒社)
生涯12万体もの仏像を彫ったとされる円空(1632-1695)が彫った円空仏は全国各地に点在しており、なかでも愛知県には数多く残されています。
円空仏は一刀彫というデザインの簡素さを特徴としています。
愛知県尾張旭市の庄中観音堂には、円空作の観音像が5体祀られており、毎月18日に拝観することができます。
薬師如来坐像のほかには、聖観世音菩薩立像、不動明王立像、護法神(多聞天)、阿弥陀如来坐像がありすべて大作とされています。
愛知県 庄中観音堂
所在地:愛知県尾張旭市庄中町南島1443 庄中観音堂
毎月18日、午前10時半頃~午前11時半頃
名鉄瀬戸線印場駅 徒歩約20分
如意輪観音菩薩 木喰(小栗山木喰観音堂/宝生寺)

「小栗山木喰観音堂 如意輪観音菩薩 木喰 部分」 写真:にいがた観光ナビ
現山梨県に生また木喰(1718-1810)は、円空仏に影響を受けて大量の木喰仏を作ったといわれています。
ただし円空とは作風が異なり、ノミの跡がやや丸みを帯びているのが特徴です。
木喰仏が多く残るのは新潟県で、30体を超える木喰仏が集まる場所は新潟県内に4か所あり、小栗山木喰観音堂と宝生寺が有名です。
小栗山観音堂と宝生寺の木喰仏は作品の質や保存状態がよく、並んで県の重要文化財に指定されています。
アクセスはやや大変ですが、ずらりと並ぶ微笑みの木喰仏に会うことができます。
新潟県 小栗山木喰観音堂
所在地:新潟県小千谷市小栗山木喰観音堂
電話:0258-83-3512(小千谷観光協会)
拝観料:300円
5月~11月(降雪次第)、毎月17日、8時~16時頃
これ以外の日程で拝観希望の際には、要事前問い合わせ
関越自動車道小千谷インターから車で16分
新潟県 宝生寺
所在地:新潟県長岡市白鳥町486
電話:0258-46-4768
拝観希望の際には、要事前問い合わせ
まとめ
いかがだったでしょうか。
微笑仏は見ているだけで幸福がうつってくるような幸せな気持ちにさせてくれます。
「笑う門には福来る」ということわざがありますが、そのようなことわざがない古来からも日本人は仏像の微笑を通して笑い、幸せを感じていたのかもしれません。
みなさんもぜひ一度現地を訪問し、昔の日本人の微笑に思いを巡らせてみてはいかがでしょうか。
WARAI+では人工知能を用いた笑いの認識技術を提供していますが、笑い全般の情報を今後も提供していきたいと思います。