天才アインシュタインの勉強法に「笑い」あり

夏の真っ盛り、みなさんはいかがお過ごしでしょうか。 夏休みの前半、外で遊ぶ子どもたちがいつもに増して生き生きとした表情をしていますね。 夏休み中の子どもたちにとって忘れてはならないのは「宿題」。 「長い休みだから」という理由で学校からは大量に宿題が出されるわけですが、「休みぐらい自由に好きなことをさせてほしい」という子どもも多いはず。 今回はそんな子どもやその親御さんに送る、勉強と笑いのお話です。

天才アインシュタインの勉強法

アルベルト・アインシュタイン(1879-1955)

時は1915年。天才物理学者のアインシュタインがベルリンで相対性理論の研究に勤しんでいたころ、彼はウィーンで暮らす妻や2人の息子と文通をしていました。 その手紙の中に、アインシュタインが当時11歳の息子ハンスへあてた「最適な勉強法」についての一節があります。

父さんは君がピアノで楽しんでいてとてもうれしいよ。 君の年では学校よりピアノと工作がずっとあっていると思う。 なぜなら、ピアノや工作は君のような若い人にとてもあっているからね。 先生に指定されたものでなくとも、君が楽しいと思う曲を演奏するようにしなさい。 楽しすぎて時間が過ぎたことにも気づかないほど何かをしている、これが最大限学ぶ方法なんだよ。 父さんは仕事に没頭しすぎてときどき昼食を食べ忘れることがあるよ。。。。

(Original:Maria Popova「Brain Pickings」)

時の経つのを忘れて何かに没頭する、いわゆるチクセントミハイの「フロー」の状態に自分を置くこと、これがアインシュタインの勉強法だったのです。 こうした状態になるためには、意志の力で「頑張って、集中してやろう」とするのではなく、何よりも「楽しんでやる」ことが大事であることをアインシュタインは息子に伝えていたのです。

この勉強法は天才と呼ばれる人たちに共通してみられるものではないでしょうか。 たとえば野球のイチロー選手、将棋の羽生善治さん、最近話題の藤井聡太さんも、プロとしての高い意識のもとに日々訓練をするにせよ、根本的には楽しんで対象にのめりこんでいるように見えます。 天才と呼ばれる人たちが、天才と呼ばれる所以は、こうした「楽しめる」天性を持っているからこそなのでしょう。 みなさんが楽しめることは何でしょうか。思い当たるものがあれば、あなたはその分野の天才かもしれません。

「笑い」は天才発見器

いま、楽しめることがあまりないという方もご安心ください。 楽しいという感情は、本人でも意外と気づいていない場合があります。 自分や他人(子ども)が何を楽しいと思っているのか、てっとり早く見出したい場合は「笑い」に注目してみてください。 笑いは楽しいという感情をともなう行動です。 楽しさを「見える化」したものと言い換えてもよいでしょう。 どんなときにどれくらい笑っているのか注目することで、思わぬ適性に気づくことができるのです。

英語がとても不得意な大学生相手に指導をしていた先生の経験です。 その学生たちがどれくらい英語が苦手かというと、アルファベットの大文字小文字から勉強するレベルです。 最初は退屈そうに授業を受けていた学生たちの中で、学習が進むにつれて、にこにことした笑顔が出るようになった学生が出てきました。 この笑顔の学生たちは英語が得意になっていたのです。 勉強ができれば楽しくなり、また、楽しんで勉強するから学習が進むという「正のスパイラル」に入ったのではないでしょうか。 なお、この先生が、学生たちに笑顔のことを指摘したところ本人たちは自分の表情の変化に気づいていなかったそうです。

たとえ今できなくても、興味がなかったとしてもでも、扉をたたいてみればすんなり開く扉があるのです。 いま、楽しいと思えるものがない人は、いろいろなことに挑戦して「笑い」を探す夏にする――というのも一興ではないでしょうか。

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