人工知能が笑いを判定!笑いバトル「笑王」打上花火編

初イベント開催します!

人工知能による笑い測定プロジェクトWARAI+を立ち上げて一年弱、初めてのイベントを主催することになりました。その名も「笑王」~打上花火編~です。今回はイベントの背景とコンセプトを紹介します。

背景――音声認識の先へ

現在、音声認識を担う人工知能は、人間の言葉を文字通り認識するところまでは開発が進められています。スマートフォン等の音声認識機能をはじめとして昨今ではAIスピーカーというかたちで私たちの生活シーンにも登場しています。音声認識の精度は騒音環境下でなければ人間を超えるところまで到達したとされています。この技術のその後はどうなるでしょう。さまざまな進化の方向がありますが、有力視されるのが人間の感情を認識する「感情認識」の段階です。感情認識の必要性の例を出しましょう。たとえば、誰かのジョークに対する返答が「おもしろいね」だった場合を想定してください。テンション高く「おもしろいね!」と言った場合と低めのテンションで「おもしろいね……」と言った場合とでは、意味するところは異なります。前者は文字通りの意味ですが、後者は「つまらない」とまったく逆の意味合い(相槌や皮肉)となってしまいます。音声を文字通りに認識できた先には、言葉の裏にある感情をふまえた真意の推定が待ち受けているのです。
さて、われわれWARAI+ではそうした音声認識の「すこし先」に取り組んでいます。確認するまでもありませんが、ヒトの楽しい、面白いという感情は笑いとして表出されることが多くあります。逆に言えば、笑いを認識することによってこうした快の感情を推定することが可能となります。
WARAI+が開発したプロ版と呼ぶべき高精度・特化型の笑い認識人工知能の汎用版をスマートフォンのアプリに搭載したものが、WARAI+SensorとWARAI+Recorderです。それぞれ「笑いの見える化」と「笑いの数値化」をテーマに、笑いを測ることの面白さと実用性を少しでも体感していただきたいと思って公開しました。
こうした背景を理解していない限り「笑いを測って何に使うの?」と考えるのも当然のことです。自信満々に胸を張って、目を輝かせながら「人工知能の知見を活かして笑いが測れるようになりました!」と言っても、「ふーん、それで?」と返されてしまうことが多いのも事実です。そこで、多くの皆様にもう少し伝わりやすいコンセプトで笑い測定の魅力を提示できないか、と考え今回のイベントを企画しました。

コンセプト1――気持ちの具現化

今回のイベント名「笑王」(わらおう)はその名の通り笑いの王様を決めるコンテスト形式のイベントです。観客の笑いを人工知能が測定し、最も笑わせた芸人と最も笑った観客を「笑王」として表彰します。かつて、関西大学、NPO法人プロジェクトaH、ラフグラム・リサーチ株式会社に所属していた時にもこうした笑い測定を利用したコンテストの依頼を受けたことがありますが、今回はそれらのイベントとは変えた点がいくつかあります。
まず、笑い計測の結果を、笑いの数量で直接表示するのではなく一度デジタル・アートに変換して表示する点です。今回は「打上花火編」と題して観客の笑いが打上花火となって150インチの大スクリーンに投影されるようにしました。花火の色は観客それぞれによって異なり、また、花火の大きさは笑いの大きさ(継続時間)に対応しているので、誰がどれだけたくさん笑ったのかが直感的にわかります。 うす暗いライブ会場で笑いの発生と花火の打上げを連動させることにより、笑いを測っている人が笑えば笑うほど会場が明るく華やかになるので、心の中の「明るさ」が実際の部屋の「明るさ」と対応します。テレパシーのように気持ちが具現化する新しいデジタル・アートのスタイルの提案です。

コンセプト2――笑王で笑おう!

たくさん笑うためには、笑わせる側の技術はもちろん、笑う側の知識や心の状態も大事です。にもかかわらず通常のコンテストですと、たくさん笑わせた芸人は表彰されますが、笑ったほうは注目されません。これでは片手落ちです。
そこで今回のイベントでは笑う側も主役となるよう、花火を最も多く誘発した芸人に加えて最も多く花火を打ち上げた人を表彰します。ベタベタで恐縮ですが「笑王で笑おう」が合言葉です。歩数計の登場により積極的に歩く人が激増したように、笑いを測ることで自ら笑うことに意識を向けていただけたらと考えています。
このほかにも、特別仕様の咽頭マイクを用いてさらに性能が向上した人工知能を用いること等、今回は様々な試みをします。機器や花火エフェクトを含め具体的な部分についてはまた後日紹介したいと思います。
なお、今回は5名の観客の笑いを測る予定です。希望される方は是非ふるってご参加ください。出場芸人は現在調整中ですので、調整でき次第追ってお知らせします。お楽しみに!

【WARAI+からのお知らせ】

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