漫才中の「笑いと拍手」の平均音量と最大音量を解析
笑い採点AI「UKETA(ウケタ)」の波形抽出機能を使って、M-1グランプリ2022の笑いと拍手の発生状況を見てみます。
ファーストラウンドの様子を順に見ていきましょう。
グラフの縦軸はAIが判定した笑いや拍手の程度で、横軸に時間をとっています。
比較しやすくするために縦軸も横軸もすべて同じ縮尺にしています。
1組目:カベポスター

トップバッターはカベポスターで題材は「大声コンテスト」。
全体的に笑いの程度は控えめで、拍手笑いの回数も少なかったです。
会場が温まっていないなかで、テンションを多用せずレトリックで笑いをとる「静か系」ネタは組み合わせがよくなく、振るわなかったです。
笑いと拍手の平均音量指数は12.78で7位、同最大音量指数は0.868で8位でした。審査員の得点は634点で8位でした。
2組目:真空ジェシカ

2番目の登場となった組は真空ジェシカで題材は「シルバー人材センター」。
ネタ時間はM-1の2022決勝大会中で最も長く、5分近くありました。
拍手笑いの回数は多かったものの、終盤に笑いや拍手が少ない時間帯があり、後半にかけて盛り上げる高得点パターンをはずした形となりました。
笑い・拍手の平均音量指数は17.71で6位、同最大音量指数は7位、審査員の評価は647点で5位となりました。
3組目:オズワルド(敗者復活)

3番目に登場したのはオズワルドで、同日昼からおこなわれた敗者復活選において視聴者投票で選ばれました。
題材は「夢か現実か」。
静か系のイメージがあるオズワルドにしてはハイテンポな掛け合いの漫才となりました。
拍手笑いの数は平均的で、笑いの数は比較的少なかったです。
後半にかけて盛り上げるオズワルドの展開のうまさがあっただけに惜しい回となりました。
笑いや拍手の平均音量指数は10.92で8位、同最大音量指数は0.899で6位でした。
審査員の得点は639点で7位でした。
4組目:ロングコートダディ(平均音量指数1位、最大音量指数2位)

4番目に登場したのはロングコートダディで題材は「マラソンの世界大会」。
ボケとツッコミの間が詰まった手数の多いコント漫才で、笑いの回数、拍手笑いの回数も非常に多かったです。
後半の盛り上がりもありました。
惜しむらくは、ネタ時間はファーストラウンドの最短だった点です。
笑いと拍手の平均音量指数は33.24で1位、同最大音量指数は0.931で2位でした。
審査員が付けた得点は660点で2位で最終決戦に進出しました。
5組目:さや香(最大音量指数1位)

5番目に登場したのはさや香で題材は「免許返納」。
笑いや拍手笑いの回数がかなり多く、特に拍手笑いの数は最も多かったです。
展開も後半にかけて盛り上げるという欠点のない漫才でした。
笑いや拍手の平均音量指数は20.35で4位、同最大音量指数は0.932で1位でした。
審査員の付けた得点は667点で1位で最終決戦に進みました。
6組目:男性ブランコ(平均音量指数3位)

6番目の登場となったのは、男性ブランコで題材は「音符運び」。
独特の世界観で、笑いや拍手の数は標準的でしたが、今大会きっての爆発的な拍手笑いを何度もとりました。
笑いや拍手の平均音量は23.68で3位、同最大音量は0.928で4位でした。
審査員の評価は650点で4位でした。
7組目:ダイヤモンド

7番目に登場したのはダイヤモンドで、題材は「言葉づかい」。
無農薬野菜があるなら普通の野菜は農薬野菜と呼ぶほうがいい、といった言葉のつかい方が題材で、少し考えさせるネタのせいか笑いの数や拍手の数は少なめでした。
終盤に拍手笑いが起きなかった点も惜しかった点です。
笑いや拍手の平均音量指数は10.71で9位、笑いや拍手の最大音量指数は0.843で10位でした。
審査員の得点は616点で10位でした。
8組目:ヨネダ2000(平均音量指数2位、最大音量指数3位)

8番目に登場したのはヨネダ2000で、テーマは「イギリスで餅つき」。
独特なリズムで展開するネタで、序盤は笑いのみでしたが、中盤以降は拍手笑いが続出する盛り上がるネタでした。
拍手笑いが後半のみで標準的な回数にとどまった点が惜しかったです。
笑いと拍手の平均音量指数は24.36で2位、笑いと拍手の最大音量指数は0.929で3位をマークしました。
漫才は話芸であるという観点の評価があってか、審査得点は647点の5位に落ち着きました。
9組目:キュウ

9番目に登場はキュウで、題材は「共通点」。
2つの言葉の共通点を探るネタでしたが、少し考えさせるテーマということもあってか笑いや拍手の数は控えめな結果になりました。
後半に笑いの数は増えて聞きましたが、拍手笑いがなかった点は惜しかったです。
笑いと拍手の平均音量指数は9.95で10位、同最大音量指数は0.862の9位でした。
審査得点は620点で9位となりました。
10組目:ウエストランド

10番目に登場したのはウエストランドで、テーマは「あるなしクイズ」。
笑いの数、拍手の数が多く、拍手笑いが中盤以降に頻出して盛り上がる展開の漫才でした。
笑いと拍手の平均音量指数は19.55で5位、同最大音量指数は0.913で5位でした。
審査員の評価は659点で3位となり、最終決戦に進みました。
ウエストランドは出番順もよかったですし、愚痴をともなう笑いで世相を伝えるという内容も評価されました。
また、ウケた度合いとして対抗馬となったヨネダ2000や男性ブランコが漫才のオーソドックスなスタイルではなかった点もウエストランドにとっては最終決戦に残る一つのポイントとなったと思います。
ファーストラウンド審査結果と「笑い・拍手の指標」との比較

今回の結果を見ると、ロングコートダディ、さや香、男性ブランコ、ヨネダ2000、ウエストランドの5組は平均と最大の両方で笑いや拍手の音量が大きく、どの組も僅差のつばぜり合いの接戦でした。
今大会は笑いと拍手の最大音量と審査員のつけた得点の順位がかなり近い結果となりました。
平均的な笑いや拍手の量とともに、笑いや拍手の瞬間的な大きさが重要な指標となっていると考えられます。
WARAI+ではAIのチカラを活用することで、公平な審査の実現、審査員の負担の軽減をできればと考えております。
2023年もさらに進化を進めてまいりますので、ご用命の際にはお気軽にお問い合わせください。