笑いと健康シリーズ 1. 糖尿病

コラム

声を出して笑う機会はどのくらいありますか?

突然ですが、糖尿病に関心をお持ちのかたは次の質問に答えてみてください。

Q.あなたは普段の生活で、声を出して笑う機会はどのくらいありますか。

  1. ほぼ毎日
  2. 週に1~5回程度
  3. 月に1~3回程度
  4. ほとんどない

普段の生活における笑いの頻度と糖尿病の有病率には関係があることがわかっており、上記の質問で3.や4.と答えた方は知らず知らずのうちに糖尿病のリスクが高まっています。

糖尿病は日本人の5人に1人はその患者か予備軍であり、国民病といってもよいほどありふれた病気です。

糖尿病とは

わたしたち人間は、食品に含まれる糖分を体内でブドウ糖に分解し、それを身体を動かす原動力にしています。
血液中のブドウ糖のことを「血糖」といいますが、この血糖はインスリンというホルモンの作用があってはじめて利用することができます。

糖尿病になると、このインスリンの分泌が少なくなったり働きが悪くなったりするため、血液中に利用されないブドウ糖が増えすぎてしまうのです。
これがよく耳にする「血糖値が高い」状態であり、放置すると徐々に全身の血管や神経に支障が出てきて、網膜症、腎症、末梢神経症などを代表としてさまざまな症状を引き起こします。

糖尿病になる原因は、遺伝的要素に加え、高カロリー・高脂肪の食品の摂取、運動不足、肥満、ストレス、加齢などさまざまな要素がありますが、その主たる原因が生活習慣であるため「生活習慣病」とも呼ばれています。

糖尿病の予防法――糖尿病になる前に笑おう!

糖尿病を予防するには食べ過ぎを避け、バランスのよい食事を心がけることが効果的であるといわれています。

また、適度な運動を行い、ストレスを避けることも大事とされていますが、これらのすべての項目を実践するのは難しい人も多いはず。

そんな人には、「適度な運動」と「ストレスの緩和」を同時に満たす「笑い」をおすすめします。

笑いにはウォーキングと同等の運動効果があり、また、笑いにはストレスの緩和作用もあるのです。

笑いと糖尿病との関係については目下のところ研究がすすめられてきており、2015年に琉球大学の白井先生は23,169人を分析対象として本記事の冒頭の質問を含む調査を実施しました。

この質問に「ほぼ毎日笑う」と答えた人と「ほとんど笑わない」と答えた人の数を糖尿病の罹患の有無と照合したところ、「ほとんど笑わない」と答えた人のほうが1.38倍も糖尿病有病のリスクが高いという結果が出ました。

このことから、日々たくさん笑うことを意識すれば、糖尿病になりにくい体質となることが期待できるのです。

(白井こころ,2015,「笑い」と糖尿病有病との関係についての検討)

笑いで血糖値の上昇を抑制――糖尿病になっても笑おう!

糖尿病にすでにかかってしまった人にも笑いはおすすめです。
笑うことが血糖値の上昇の度合いを大幅に抑制することが2003年の筑波大学名誉教授の村上和雄先生たちが実施した笑いの実験でわかっています。

同実験は糖尿病の患者を対象に行われ、食後に講義を聞いた場合と食後に漫才を鑑賞した場合の血糖値を比較したところ、前者の場合の平均血糖値は123mg/dl、後者は77mg/dlであり、笑うことによって平均46mg/dlも血糖値の上昇を抑えられていたのです。

なお、実験では大きく笑った人ほど血糖値の抑制効果も大きかったということですので、糖尿病に悩まされている人ほど日々大笑いしながら楽しく過ごすことが重要になってくるのです。

(村上和雄, 2004, 『笑う!遺伝子―笑って、健康遺伝子スイッチON』一二三書房.)

「笑いは百薬の長」

最近の研究で「笑い」が糖尿病の予防と糖尿病の症状の改善に効果があることがわかっています。
糖尿病の予防をしたい人は「毎日笑うこと」を、糖尿病にかかった人で血糖値の上昇を抑えたい人は「大笑いすること」を意識してみてください。

古来から「笑いは百薬の長」と言うように、笑いは糖尿病の症状の緩和だけではなく様々な健康効果も期待できる行動です。
日々積極的に笑うことによって楽しく健康な暮らしを目指してみませんか。

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