笑うだけではダメ!初対面で仲良くなるために大切なこと


笑うだけでは不十分

笑いをうまく相手に「伝染」させて一緒に笑うことで、相手との心理的な距離は縮まります。 前回の記事、グッと距離感が縮まる!笑いを「伝染」させる3つのポイントでは、 笑いを他人に伝染させるための要素として、1.笑顔、2.笑い声、3.視線を挙げました。 同記事でも指摘したように、たしかに、この笑顔、笑い声、視線は重要な要素です。 しかし、考えてみてください。 笑顔で笑い声をあげている人と目が合えば、目があった人は必ず笑うでしょうか? そういうわけではありませんよね。 今回は、笑いがうつるために必要なもう一つの要素と、初対面の人にも使える笑いの感染テクニックを紹介します。

笑いの伝染のもとに「信頼関係」あり

あるとき、私の恩師が笑いを測る装置「笑い測定機」を用いて笑いの計測実験を行っていました。 実験の内容は大学の学生数名に集まってもらい、お茶の缶に見せかけたびっくり箱で笑ってもらうというものです。 その中で、視線を介して笑いがうつるという現象を発見したのですが、笑いがうつった人たちにはある共通点がありました。 それは、笑いがうつった人同士は無二の親友であり、互いに信頼関係があったのです。 ではなぜ、信頼関係がある人同士で笑いがうつったのでしょうか?

信頼関係が笑いに必要な「安心」を生み出す

笑いが伝染する要因として重要なのは、信頼関係があることでお互いが「安心」していたということです。 笑いの大敵は不安感です。 人間は、何らかの笑いのもととなる刺激を受けてもそれが不安を感じさせるものであれば、笑いではなく恐怖へつながっていきます。 逆に、同じような刺激を受けても、それが安心できるものだと受け取ったとき、初めて笑う行動につながってくるのです。 このメカニズムは通常、ポジティブ心理学でいうところの「反転理論」(reversal theory) で説明されますが、それは別の機会に解説するとして、今回は直感的な例をご紹介します。
「幽霊の正体見たり枯れ尾花」ということわざがあります。 この言葉の意味は「暗闇で怪しい影が揺れていて幽霊だと思って恐怖を感じたが、 近づいてよく見るとススキの穂が揺れているだけだった」ということですが、このとき作者は、 最初は恐怖に感じた対象が実にちっぽけな植物だったので「安心」して笑ったことでしょう。 わたしたちが遊園地のお化け屋敷やジェットコースターという強い刺激を与えるもので楽しむことができるのも、 「安全に楽しめる」という遊園地に対する信頼があり最終的には「安心」できるためなのです。 対人関係に話を戻すと、初対面の人同士では「笑ったら失礼にあたるかも」という「不安感」があるため笑いにくくなりますが、 信頼関係があることによって「笑ってもよい」という「安心感」がうまれ、笑いは発生しやすくなるのです。

初対面の人には「失敗談」と「間接的アプローチ」

では、まだ信頼関係が構築されていない初対面の人と笑うにはどうすればいいのでしょうか。 地道な方法ではありますが、もっとも確実な方法は共通の話題を見つけて話すことです。 自分が相手と同じことに興味関心があることを示し、話が通じる相手ということから「安心感」を高めることができます。 また、相手に失礼があっていはいけないという緊張した状況では、 あえて自分のちょっとした失敗談を出すことによって効果的に相手の警戒心を解くことができるのでおすすめです。 もし、知人がそばにいる状況であれば、まずはその知人と一緒に談笑してみてください。 知らない人同士で一緒に笑うのはハードルが高いですが、知っている人同士では笑いが発生しやすいので、その笑いを初対面の人にうつしてあげるのです。 これは病院を回る道化師「ホスピタル・クラウン」がよく使うテクニックです。 彼らは普段、長期入院の子どもを笑わせる活動をしていますが、その時に意識するのは、 子どもを直接笑わせるのではなくその子どもが最も信頼を寄せる人(おもに母親)を笑わせることなのです。 子どもが信頼を寄せる人が笑うことにより子どもは「安心」し、さらにその場で生じた笑いが子どもにもうつっていきます。 直接ではなく間接的に信頼関係の糸をたどることで、無理なく初対面の人と心理的な距離を縮めることができるのです。

まとめ

笑顔、笑い声、視線、これらの笑いが感染するきっかけを意識することに加えて、そもそも笑いが生じる土壌である安心感をどう作るかが笑いを感染させるためのキーポイントとなります。 安心感の生み出し方については、ここで紹介したもの以外にも様々な方法が考えられますので、みなさんも工夫してどんどん笑いを伝染させてください!

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