【AIで振り返る】どの組が一番ウケた?M-1グランプリ2018
集団の笑い声検出用AI「UKETA」
「UKETA」はお笑いの現場で「複数人の笑い声を簡単に測りたい」という声に応えるべく開発されました。
UKETA用パソコンに専用マイクを接続するという構成で、AIが通常の話し声と笑い声を強力に分離し爆笑が生じた時間を測ってくれます。
UKETAでは、爆笑の秒数に加え、爆笑の履歴をグラフで表示することが可能です(下図)。

UKETAの出力画面の一例。1分25秒の爆笑が計測された。
たとえば、こんなニーズに応えられます。
- 多人数の笑いを測りたい
- 広い会場で笑いを測りたい
- とにかく簡単に笑いを測りたい
- お笑いの分析をしたい
- お客さんの笑い声でお笑いの審査をしたい
今回はUKETAを使って、2018年12月2日(日)に開催されたM-1グランプリ2018の結果を振り返ります。
なお、UKETAに搭載するAIはM-1グランプリ向けに特化させたものを特別に用意しました。
(UKETAでは画面や集計方法のカスタマイズ、特別なAIを搭載することも可能です。詳しくはお問合せください。)
笑いは水モノ――順位の予想は難しい
本編に入る前に、順位予想の振り返りをしておきましょう。
WARAI+では、M1グランプリ2018の順位予想を行っていました。
予選での爆笑時間をもとに、1位見取り図、2位ジャルジャル、3位スーパーマラドーナと予想しましたが、結果はいまいちでした。
ご承知のように、結果はジャルジャルこそ3位に入ってくれたものの、予選でいまいちだった(と思われる)霜降り明星と和牛が1位と2位を占めたのです。
予想が難しくなる要因としては、予選と本番のネタが異なること、本番の漫才の出来、出演の順番や会場の盛り上がり具合に笑いの量が大きく左右されることが挙げられます。
笑いは水モノだということがよくわかる結果となりました。
爆笑時間で比べよう
M-1グランプリ2018決勝戦に残ったのは、霜降り明星、スーパーマラドーナ、ギャロップ、かまいたち、ゆにばーす、トム・ブラウン、和牛、見取り図、ジャルジャルの9組です。
この9組に敗者復活枠で選ばれたミキをくわえて10組で決勝戦がおこなわれました。
決勝戦の持ち時間は4分で、10組中審査員の評価の高かった3組が最終決戦に進出し、その中で優勝が決定します。
UKETAが算出したM1会場の爆笑の秒数とその順位、審査の結果を表にしてみました。
M-1グランプリ2018決勝の爆笑時間

爆笑の秒数は、ジャルジャルが1位、2位が霜降り明星、3位が和牛となりました。
4位~6位の以下のかまいたち、見取り図、トム・ブラウンは僅差でした。
見取り図は爆笑時間では全体の5位でしたが、審査結果は9位でした。トップバッターだけに低めに評価されてしまったのかもしれません。
審査結果の順位と爆笑時間による順位とのズレを平均してみると、1.4位でした。
爆笑時間で順位を決めても審査の結果とそこそこ一致しているといえます。
爆笑時間の「割合」で比べるとより正確?
それぞれのネタの時間(芸人の話し始め~終わりまで)は、最長で見取り図の4分48秒、最短で霜降り明星の3分53秒と差がありました。
このような場合は、爆笑の時間をネタの時間で割って、「爆笑時間の割合」を比べるとより公平になります。
爆笑時間の割合による順位算出方法では、審査結果とのズレが平均0.8位まで低下しました。審査結果を「正解」とした場合、爆笑時間そのものを用いるより(今回は)優れた結果となりました。
M-1グランプリ2018決勝の爆笑時間の割合

爆笑時間の割合をもとにしたトップ3の順位は、爆笑時間をもとにした順位と変わらず1位ジャルジャル、2位霜降り明星、3位和牛となりました。
ジャルジャルのネタについては好みがあるものですし、「嫌い」という審査評もありましたので、爆笑時間の割合に比べて順位が低くなっても不思議ではありませんね。
以下、ミキ、かまいたち、トム・ブラウンと審査結果と一致しました。
3~5位の和牛、ミキ、かまいたちは僅差でしたので、3組のうちどのコンビが決勝に進出してもおかしくなかったのかもしれません。
見取り図は爆笑の割合は7位ですが、審査結果は9位でした。
見取り図はトップバッターのせいか、低めの評価となってしまったことがうかがえます。
このように爆笑時間の割合からすると、ジャルジャルと見取り図の順位が審査員の評価によって特別に変動したように見受けられます。
以上のことを審査員側からとらえると、審査員は観客や自分が笑った経験に大きく影響されて審査をしていることや、かなり緻密な審査をしていることがわかります。
審査員に対する意見は諸々ありますが、さすがはお笑いのプロ中のプロといったところではないでしょうか。
最終決戦――実はジャルジャルが勝っていた?
霜降り明星、和牛、ジャルジャルで争われた最終決戦の爆笑時間とその割合も見てみましょう。
M-1グランプリ2018最終決戦の爆笑時間とその割合

爆笑時間の割合では、1位ジャルジャル、2位霜降り明星、3位和牛ということで、僅差とはいえ24%でジャルジャルの優勝でした。
出演順番や審査員のネタの好みによってジャルジャルの評価が低下したのかもしれません。
爆笑時間については、ほとんど僅差でしたが、1位霜降り明星、2位和牛、3位ジャルジャルとなりました。これは審査結果と一致します。
なお、この爆笑時間や割合による算出方法以外にも、WARAI+ではさまざまなお笑いの評価法を考案しております。
霜降り明星や和牛の評価がなぜ高かったのか、それはまたの機会にご紹介したいと思います。
高額なギャラの審査員が不要になる時代ももうすぐそこまで来ているのかもしれませんね。
【WARAI+からのお知らせ】
- 「今年一番ウケたネタ大賞2018」(関西テレビ)で笑いを計測しました。放映は12月23日予定です。ミキ、祇園、アインシュタイン、濱田祐太郎、トットなど旬の芸人が勢ぞろい。UKETAを使って笑いの量を競いました。誰が一番ウケたのか?ぜひご覧ください。司会はブラックマヨネーズ、ゲストは横山由依(AKB48)さんです。