睡眠不足解消の特効薬は「笑い」にあり!

笑いと健康シリーズ(5)笑いと睡眠の関係(前編)

早寝早起きの習慣を身に付けて元気に暮らしたい、と願っていませんか?
ところが、いざ今日から実践しようとしても、なかなか寝られないということを経験した人も多いはず。
解決策を調べてみると、「夜10時には布団に入ろう」とか「パソコンやテレビ、 スマホは寝る1時間前には使わないようにしよう」という、なかなか実践の難しい内容が多く目につきます。
夜10時以降でも活動をする人は多くいるわけですから、連絡事項があれば、自分だけ寝床に入るわけにもいかなくなります。
わたしたち現代人には、たとえ眠る直前にパソコンやスマホを操作していても、すぐに眠れる方法が必要なのです。
この記事では、そうした状況で使えるすぐに眠りにつくための2つのポイントを紹介します。

ポイント(1)メラトニンを分泌しやすく

人間は眠りにつくとき、脳から「メラトニン」というホルモンが分泌されています。
メラトニンには、深部体温を下げたり、副交感神経を優位にして気持ちを落ち着かせ、呼吸や脈拍、血圧を低くする作用があり、これらの効果のおかげで私たちは眠りにつくことができるのです。
このメラトニンの生成には、「セロトニン」という別のホルモンが必要で、セロトニンの生成には「トリプトファン」というアミノ酸の一種が必要です。
睡眠不足解消の第一歩は、食事の際にトリプトファンが多く含まれる肉、魚、乳製品、パン・米、豆類を意識してとることです。
第二ステップは、セロトニンの分泌を促す行動をすることです。 「日光浴」、「腹式呼吸」、「リズム性のある運動」、「感情を豊かに表現すること」がセロトニン分泌に効果的だと知られています。
「腹式呼吸」、「リズム性のある運動」、「感情を豊かに表現すること」……実はこれらをまとめて行う運動があるのですがわかりますか。
もうお気づきでしょうか、それは、「笑うこと」です。
筑波大学名誉教授の村上和雄先生の実験や海外の研究でも笑いがセロトニン分泌に有効であることが示されています。
しっかり食事をして、外出して、ゲラゲラ笑う、ただこれだけでずいぶん眠りやすくなるはずです。

ポイント(2)副交感神経を優位に

人間は交感神経と副交感神経という正反対の2つの自律神経のはたらきをうまく使って健康を維持しています。
交感神経は緊張やストレスがあるときに優位にはたらいており、副交感神経はリラックスしているときにはたらく性質があり、交感神経が優位にはたらいている状態ではなかなか眠りにつくことができません。
たとえば大事なプレゼン前や試験前に気にかかることがあって眠れなくなるのは、交感神経がいつまでもはたらいているからなのです。
では、すぐに副交感神経を優位にする方法はあるのでしょうか?
実は笑った後には副交感神経が優位になることが指摘されています(角辻ら『人はなぜ笑うのか 笑いの精神生理学』講談社ブルーバックス)。
気にかかることをすぐに気にならなくすることは大変難しいことですが、笑うだけなら、すぐに実践できますね。
ただし、次回の「笑いと睡眠の関係(後編)」にて紹介しますが、寝る直前に過度に大笑いしすぎるとかえって眠れなくなることがあるのでほどほどにしましょう。

また、夜寝るときの不安感を消す方法として、その日の総括をしたり、明日やることを明確にしたりするブリーフィングも効果的です。
人間はよくわからないことに対して、大きな不安感を覚えるものです。
昔の人が暗闇やお化けを怖がっていたのも、そのあらわれですね。
現代のわれわれが不安に感じることは、たいていは将来の自分の人生に対する不安です。
今日なしとげたこと、明日やることを明確化することはそうした不安感の解消にとても効果があるのです。
この作業は頭のなかで行ってもよいですが、手を使って手帳に記入することでより明確化の度合いが高まり、安心効果も高まるのでおすすめです。

まとめ

「食事」、「日光浴」、「笑い」、「ブリーフィング」これらを行えば快眠をしやすくなります。
経験上、特に「笑い」は効果的です。作り笑いでも構いません。
筆者は笑いに関する講演や発表をする前日のリハーサルで笑うことがあるのですが、その晩は講演前の緊張状態なのにもかかわらず、すぐに眠れることを何度も経験しました。
眠れないで悩んでいるかたは、ぜひ試して笑いの威力を実感してみてください。

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